2020年5月26日火曜日
『売上を、減らそう。』の世界観
発想の転換。
経営者がどうあるべきか、のイメージが
どれだけ強いものか。
増収増益
右肩上がり
店舗拡大
などなど、いわゆるそれができると
「成功している経営者」と呼ばれる。
新聞や広告でもよく見かける会社が思い浮かぶ
からだと思う。
実際には、経営者はもっと身近な存在だ。
自分の祖父母は商店街で鞄屋の経営をしていた。
家と店舗が一体で、生活の中に経営があった。
そのような商店は生活に密着している。
外部要因によりリモートワークなるものが
一気に普及した現在とこれから。
都心の職場経済圏は郊外や地方の住居まわり経済圏
に移っていくだろう。
近くで買えないものは、ネットで買えば自宅まで
届けてくれる。
『売上を、減らそう。』
国産牛ステーキ丼専門店の佰食屋の経営者
中村朱美さんの経営哲学が書かれた本だ。
いくつか印象に残った点がある。
<採用>
一般的に多くの企業が欲しがるだろう
自発的でハキハキ意見を言えるような人は採用しない。
それは諦めているからではなく、ふさわしい人を
採用するために組織の特性を理解しているから。
「自己分析」は、求職者(特に学生向け)に
よく使われる言葉だが、組織に対しても必要なものだ。
<業務>
やるべきことは、誰にでもできるようなことに
単純化されていて中でも向き不向きでアサインする。
そうすると、考えずとも当たり前のように確実に
業務が進んでいく。
シンプルな仕事は発展性がない、すぐ飽きる、
機械に取って替わられるというのが最近の風潮。
何も考えずにできるようになると、人はさらに
当たり前の精度を高めるし、
頭を使わなくてもいい分、他のことを考える
余地を生み出せる。
これはきっと、今のAIではできないことだ。
<決断>
言葉の通りに、「やらないこと」を決めていく。
削ぎ落とすプロセスには、常識と思われていること
が障害となる。
できるかどうかわからない拡大を目指すよりも
自分たちに見合ったアウトプットを出し続ける
という選択。
削り落としたことで、得られる時間。
「安定的に低空飛行して、絶対に黒字を出す仕組み」
という言葉に集約されている。
特に上の3つのポイントが印象深い。
自身の起業体験と重なる部分も多い。
2016年に中国で起業。
思ったように伸びない売上、
そして社員に報いることもできず。
売上目標をクリアしていくスタイルから
今の体制で、外部要因の波があっても
継続できるように変化させていった。
2020年世界を襲った大きな衝撃に
耐えうるかどうかは正直なところ不明だ。
ただ、きっと自分にとっては変化の機会に
なると思っている。
持続的に、生活と共にある経営。
仕事に出かける
から
仕事と共に暮らす
へのシフトチェンジは
世界で既に起こっている。
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